当院では20年ほど前からインプラント治療を行っていますが、現在は最初からインプラントをお勧めはしていません。時々、他の医院でインプラントにしなければならないと言われて、当院に来たという患者さんがいます。しかし、そのような患者さんでも、私の目から見ると、まだインプラントにしなくても数年は大丈夫なケースも少なくありません。確かに、いずれ駄目になるのだから、予防措置的な意味も含めて早めにインプラントにしてしまおうという考えもあるかもしれません。しかし私はできるだけ天然の歯を残すことが大切だと考えていますので、そのようなときは患者さんと話をします。するとほとんどの方は、その時はインプラントにせず、できるだけ自分の歯を残すことを選択します。そして止むを得ず抜歯をした場合でも、入れ歯やブリッジなどの選択肢も考えながら、それでもインプラントのほうが良いという場合のみ提案をしています。患者さんの状態は一人ひとりで違いますから、抜歯をしたらインプラントだと一概に考えるのではなく、その患者さんにベストだと思える治療を提案することが大切です。
またインプラント治療をするにあたっても、骨移植などの処置が必要となる場合には、より安全性を期すために近隣の病院などに紹介をしています。
Q.インプラント治療に年齢制限はありますか?
A.最低16歳以上(骨の成長がほぼ終了)で、医学的、解剖学的に条件が満たされている限りどなたでもインプラント治療を受けることができます。年齢の上限はありません。
Q.糖尿病でも大丈夫ですか?
A.医師の指導のもとに十分コントロールされていれば大丈夫ですが、状態によってはインプラント手術ができない場合もあります。詳しい病状を先生に伝えて下さい。
Q.歯槽膿漏でも大丈夫ですか?
A.歯槽膿漏にかかっている方はお口の中の衛生状態の悪い場合が多く、そのままではインプラントを入れることはできません。治療と正しいはみがきを身につけることで歯槽膿漏を直し、それからインプラントを入れます。
Q.治療期間はどのくらいかかるのですか?
A.一般的に、顎の骨に入れたインプラントが周りの骨と結合するのに、使ったインプラントと人にもよりますが6週間~24週間かかります。その後、上に歯を入れるための期間がかかる場合とすぐ入れることができる場合があります。
Q.治療の間、歯がないところはどうしますか?
A.仮歯や仮の入れ歯を入れておきます。見た目にも食事をするにも問題はありません。
Q.インプラントの手術は痛いですか?腫れますか?
A.口の中だけの局部麻酔をしてからインプラントを入れますので、ほとんど痛みは感じません。処置時間はだいたい30~120分位です。ただし、麻酔がきれてからは傷口の痛みがまったくないわけではありません。手術後1~2日痛みや腫れが出る場合がありますが通常すぐに治まります。
Q.手術後の注意は?
A.1~2日の腫れている間は食事がしづらくなります。また、感染しやすい時期でもあります。食事はかたいものを避け、ジュースやスープなどの流動食や栄養バランスに優れたベビーフードなどを摂って下さい。当日あるいは翌日くらいまでは多少出血が続きますが強くうがいはしないで下さい。また、口を大きくあけたり、笑ったりするのも避けて下さい。薬は指示通りにきちんと服用して下さい。はみがきは手術当日はやめ、その後は先生の指示に従って下さい。
Q.治療の成功率はどのくらいですか?
A.成功率を分析するために複数の病院で1003人の患者さんに計2359本のインプラントを入れ、8年間に渡って追跡調査した文献報告では、90%以上がまったく問題もなく機能し続けております。
Q.以前の自分の歯と同じように噛むことはできますか?
A.インプラントは顎の骨としっかりくっついて丈夫な土台となり、りんご、たくあん、せんべい、あわびの造り、するめなどほとんどの物はしっかりと噛めます。以前の自分の歯以上かもしれません。